- 台風一過
- 青森のリンゴは美味しいか?〜part2
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2012.12.24 Monday昨日は更新できず、ブログの内容を引っ張ったままにしてスミマセンでした。
さて、なぜ青森のリンゴは品質のばらつきが顕著なのか。
一つは生産地域の違いです。
長野の気象は、基本的にはリンゴの生産に合いませんが、山すそなど比較的気温の低い場所ではリンゴ生産は可能です。
つまり、リンゴが作られる環境がほぼ同じなので、比較的同品質になりやすいわけです。
では青森はどうか?
主にリンゴが生産されているのは、県中央から西側と南側の地域ですが、ほぼ県全域で生産は可能です。
そのため、平地、山間部、多少温暖な地域、多少寒冷な地域というように生産環境が異なるので、集荷された果実の品質にばらつきが生じやすいのです。
しかし、低品質なリンゴが流通する最も大きな原因は、市場のニーズです。
以前にも触れたことがありますが、市場が求めるのは『形がよく、色づきがよく、大きなリンゴ』であり、美味しいかどうかはあまり重要視されません。
そして、市場の価格は時期で変動します。
青森より暖かい長野は、必然的に早く花が咲くので、その分収穫も早いです。
初物には高値がつきやすいので、長野のリンゴは早く出荷されるぶん、高値で取引されます。
特に早生種や中生種のリンゴほど、出荷が遅くなると値崩れします。
そこで、なんとか高く売るために作業を前倒しし、着色作業を済ませて、熟す前に収穫しようという考えの農家が出てきます。
適切な時期に、適切な作業をするようにという呼びかけは行われていますが、罰則などはなく、見た目さえよければ市場も買い取るので、『見た目だけ良いリンゴ』が増えるわけです。
中生種の代表ともいうべき『つがる』というリンゴ、この『見た目だけ良いリンゴ』のせいで、『つがる』という品種のリンゴは美味しくないという誤解を生み始めています。
また、『葉取らず』もそうです。
当園の『葉取らずふじ』を食べた皆さんからは、大変美味しいという声を頂きました。
しかし、葉取らずの説明だけに注力して、熟す前に収穫して販売している例を多々目にしました。
これではせっかくの『葉取らず』も、美味しくないものとして認識され、廃れてしまうかもしれません。
美味しくないリンゴが生産される上、卸業者も『見た目も味も良いリンゴ』はデパートへ高値で売り、『見た目だけのリンゴ』はスーパーへと出荷するので、スーパーで美味しいリンゴを見つけるのは困難という状況に拍車をかけます。
なんだか悲観的な話になってきましたが、美味しいリンゴを作ろうと努力している農家も沢山います。
市場や消費者の価値観が、『美味しければ見た目なんて』と変わるように、私も努力したいと思います。
次回、この話はもうちょっと続きます。
- 青森のリンゴは美味しいか?
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2012.12.22 Saturdayブログの更新が滞ってすみません。そろそろ、研修でのネタもなくなってきました。
今日の内容について、書くべきか迷ったんですが、皆さんに正しい情報を知ってほしいと思い、書くことにしました。
福岡の市場を視察した時のこと。
「市場関係者の中には、青森のリンゴよりも、長野のリンゴの方が美味しいと思っている人がいる」
という話を、福岡の市場の青果担当の方がしてくれました。
話をしてくれた担当の方は、健康管理のために毎日リンゴを食べているそうなのですが、その方曰く、
「長野のリンゴは青森のリンゴほど美味しくないが、青森のリンゴほど不味いものもない。 つまり、青森のリンゴは良いものと悪いものの差が大きすぎる。」とのこと。
よほど食べ比べでもしない限り、普通の方は何回か食べて、美味しいか不味いか判断しますよね。
宮城県出身の妻が、我が家のリンゴを食べた時、「美味しいリンゴを初めて食べた」と言っていました。
私は一人暮らしをしている時も、スーパーなどでリンゴを購入したことがなかったのですが、妻曰く、
「スーパーで売っているリンゴは、いつもパサパサしてたから、リンゴってそういうものだと思っていた。」
とのこと。
なぜ、こういったことが起こるのか。それは・・・
長くなるので、明日続きを書きます。
- 食の安全性について考えてみる
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2012.12.13 Thursday
まず先にお知らせです。
『サンふじ中玉セット(B-1、B-2)』と、『葉取らずふじ』は品切れとなりました。
以降、ファミリーセットは『サンふじ(傷あり)』で発送させて頂きます。
そして本題。
リンゴもミカンも、栽培にあたって一般的には農薬を使います。
福岡の市場で聞いた話なのですが、低農薬でミカンを作っている方が、年間の農薬散布回数を消費者に伝えるようにしたところ、一般的な農薬散布回数より少ないにもかかわらず、「そんなに農薬かけてるの?」という反応が返ってきたそうです。
確かに農薬の散布回数や濃度など、一般の方が知る由もないのですが、消費者に正確な情報が伝わらないのは、やはり問題のような気がします。
1か月ほど前、畑で仕事をしながらNHKのラジオを聞いていました。長野県で無農薬栽培のリンゴを生産している方の話だったと思いますが、パーソナリティの方が「作物すべてが無農薬栽培になればいいのに」のような発言をされていました。
無農薬栽培の作物が、農薬を適正使用した作物に比べて安全かというと、実はそれほど安全ではないのです。
メディアの情報不足か、はたまた情報操作か。何にしても、『無農薬=安全』『農薬使用=危険』といったイメージが出来上がっている気がします。
無農薬栽培の良い点は、何と言っても残留農薬がほぼ無い事です。
農薬使用の作物でも、用法容量を適正に使用したものであれば、人体に影響を及ぼさない、ごくごく僅かな残留農薬しか残りません。農薬使用の作物を食べて育った世代の方(私もですが)が、いたって元気に生活していることからも明らかです。
しかし、そのごく僅かな残留農薬に、アレルギー反応を起こす方が稀にいます。そういった方には、無農薬栽培の作物は無くてはならないでしょう。
では、無農薬栽培の作物にはアレルギー物質はないのか?
あります。それも、農薬栽培作物よりも多量のアレルギー物質が。
農薬使用栽培の場合、作物の天敵となる害虫や細菌を激減させることができますが、無農薬栽培の場合は、それら天敵の脅威に晒され続けることになります。
そこで、作物は自衛のために自然農薬と呼ばれるアレルギー物質を作り出し、蓄積していくというわけです。
アレルギー性疾患は、個々人によって反応するアレルギー物質や量が異なるので、必ず発症するというものではありませんが、単純に比較した場合、無農薬栽培作物を摂取し続けた方が、アレルギー性疾患を発症しやすいということになります。
食の安全に最も厳しいとされるヨーロッパでも、以上の事から農薬を適正使用した作物の摂取を推奨しています。
無農薬栽培作物を、子供の健康のためにと与えている方は特に注意が必要です。子供の方がアレルギー性物質を取り込みやすいので、アレルギー性疾患にもなりやすいです。
微量の残留農薬に反応してしまう方には、無農薬栽培の作物は必要。
無農薬と農薬使用、どちらが良いかは食べる人が判断すればよい事だと思います。
ただ選ぶ前提として、一般の方に正しい情報を持って欲しいと思います。
メディアの偏った情報発信に疑問を抱いたので、ちょっとここで書いてみました。